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「コートを探して何十分も車で走った」「バドミントンコートを借りてラインを引いた」——つい数年前まで、日本でピックルボールをプレーするにはそんな苦労があった。ところが2025年から2026年にかけて、この状況が劇的に変わりつつある。東京タワーの下にコートができ、北海道の有名リゾートに8面専用コートが誕生し、銀座・新橋に国内最大級のインドアコートとショップが構えた。
ピックルボール専用施設の開業ラッシュは、単なる「施設が増えた」という話ではない。このスポーツが日本市場において本格的なビジネスとして成立し始めたことの何よりの証拠だ。本記事では、2025〜2026年にオープンした(またはオープン予定の)主要専用施設を完全網羅し、それぞれの特徴とアクセス情報を解説する。
日本のピックルボール競技人口は2023〜2024年にかけて急増し、「施設不足が普及の最大のボトルネック」として認識されるようになった。プレーしたい人がいても、コートが見つからない——この状況が大会参加者増加の足かせになっていた。
専用施設の建設・開業が相次ぐ背景には、投資家・施設運営事業者がこの需要ギャップを「ビジネスチャンス」と捉えたことがある。テニスクラブ運営の知見を持つ事業者、フィットネス産業からの参入組、そして海外のピックルボールビジネスを視察して帰国した起業家たちが、それぞれの形で市場に参入している。
米国では2020年代初頭から「ピックルボール複合施設(Pickleball Complex)」がビジネスモデルとして確立した。コート収益だけでなく、スクール・プロショップ・飲食・イベント開催を組み合わせた複合施設は、単純なコート貸出よりも3〜4倍の収益ポテンシャルを持つとされる。日本の施設オープンラッシュにも、この米国モデルへの学習効果が色濃く反映されている。
世界で最も有名な観光地の一つである東京タワーの近隣に、なんとピックルボール専用コートが常設された。2面常設という規模は決して大きくないが、「東京タワーを望みながらプレーできる」ロケーションの特別感は他のどの施設にもない魅力だ。
施設の特徴
都心で気軽にピックルボールを体験したいビギナーや、観光客に競技を紹介したい愛好家にとって理想的なスポットだ。「東京観光のついでに初体験」という使い方もできるため、インバウンド旅行者にも注目されている。予約状況は公式サイトで随時確認を。
銀座・新橋エリアという日本最高の商業地区に誕生した「PICKLEBALL ONE GINZA新橋」は、単なるコート施設の域を超えた複合施設だ。
注目の複合施設設計
プレーした後にショップで最新のパドルを眺め、カフェでドリンクを飲みながら仲間と振り返る——ピックルボールを中心にした「体験エコシステム」が一か所に凝縮されている。
特にショップは「国内最大級」と称されており、海外ブランドのパドル・シューズ・ウェアを実物で見て選べる環境は、これまで日本になかったものだ。米国や欧州のプレーヤーが「ショップが充実しているからこそ上達する」と語るように、器具選びと試打の環境はゲームの質に直結する。海外の先進ピックルボールクラブに匹敵するコンセプトの施設が、日本でも誕生したことは業界にとって大きな転換点だ。
池袋という一大商業エリアに登場予定のSansan PBコートは、その規模が際立っている。
圧巻のスペック
合計7面という国内でもトップクラスの面数を誇り、ジム施設との複合運営によってスポーツ・フィットネスの総合拠点として機能する。屋外コートがあることで天候に左右されにくい運営ができ、一方で夏の猛暑や冬の寒さが気になる際は屋内コートへという柔軟な対応が可能だ。
フィットネスジムとの複合は「プレー前後のトレーニング」というニーズをワンストップで満たし、競技志向の強い会員獲得に有利に働く。2026年7月のオープンに合わせ、体験会やオープニングイベントが企画される見込みだ。
関西初の屋内専用ピックルボールトレーニングセンターとして、2025年3月に京都に誕生した。観光都市として知られる京都だが、スポーツインフラの充実という観点からも新たな一歩を踏み出した。
「トレーニングセンター」という名称が示す通り、カジュアルなレジャーコートではなく、競技力向上を目指す選手が利用することを想定した設計になっている。コーチングスタッフの常駐・個別レッスンの充実・練習メニューの体系化などが行われており、競技志向の選手から高い評価を受けている。
関西エリアのプレーヤーは、これまで大阪・神戸など都市部に点在するテニスコートや体育館の間借りが多かったが、専用施設の誕生により練習環境が大幅に改善された。
神戸に誕生したDIADEM PB KOBEは、日本最大級の規模を謳う施設だ。DIADEMは米国のパドルブランドとしても知られており、そのブランド名を冠した施設がアジアに誕生すること自体、ブランドの日本市場への本格参入を示している。
特徴
プレーヤーとして「パドルを実際に使って試してから買いたい」というニーズを満たせる数少ない施設だ。オンラインでパドルを購入することが多い日本市場において、試打できる環境は非常に価値が高い。
DIADEM PB KOBEのもう一つの魅力は、ブランドの公認コーチによるレッスンが受けられる点だ。ブランドが推奨する技術スタイルとパドル選びを連動させた指導は、器具と技術の両面から上達をサポートする。
西日本最大規模として期待が高まるPickleball Base大阪が、2026年4月にオープン予定だ。
スペックハイライト
「国際基準」「国際大会開催可能」というキーワードは、単なる愛好家向けのプレー場所ではなく、競技の聖地としての役割を担うことを示唆している。将来的には日本国内の主要大会や、アジア規模の国際大会の会場として機能することも視野に入れられているようだ。
大会会場として機能するためには、コートの規格だけでなく、観客席・計時システム・審判員控室・スコアボードなどの設備も求められる。Pickleball Base大阪はこれらの要件を満たす設計を採用しており、西日本の競技拠点として長期的な役割を担うことが期待されている。
日本を代表するリゾート地、北海道留寿都(ルスツ)に8面専用コートが誕生した。スキーリゾートとして国際的に知られるルスツリゾートが夏季のアクティビティとしてピックルボールを採用したことは、競技の「リゾートスポーツ」としてのポテンシャルを示している。
8面という規模の意味 国内でも8面を一度に使えるコートは極めて珍しい。大人数のグループが合宿や大会形式のイベントを実施するのに最適な規模だ。リゾート内の宿泊施設・温泉・食事と組み合わせた「ピックルボール合宿パッケージ」なども企画されており、スポーツ合宿の新しい選択肢として注目を集めている。
また、北海道・東北地方のプレーヤーにとって、大規模なコートで腕を磨ける施設が地域内にできたことは大きな前進だ。夏の北海道は気候が爽やかで、屋外コートでのプレーに最適な環境が揃っている。
ラウンドワン(Round 1)は、ボウリング・カラオケ・スポッチャなどを組み合わせたエンタメ・スポーツ複合施設チェーンとして知られているが、2025年以降、一部店舗にピックルボールコートを導入している。
全国に100店舗以上を展開するラウンドワンがピックルボールを採用したことの意味は大きい。これまで「ピックルボールをやってみたいが、専用施設が近くにない」という層に対して、日常的なアクセスポイントが一気に広がることになるからだ。
この形態は「競技として極める」というより「友人と気軽に楽しむ」ニーズに応えるものだが、体験人口の裾野を広げるという意味では最も大きなインパクトをもたらす可能性がある。
| 目的 | おすすめ施設 | 理由 |
|---|---|---|
| 初体験・手ぶらでOK | 東京タワーPBコート、Round1系列 | 手軽・アクセス良・レンタルあり |
| 本格的に上達したい | 京都PBトレーニングセンター | 指導体制充実・トレーニング特化 |
| パドルを試したい | DIADEM PB KOBE | 最新モデル試打可能 |
| 大人数・合宿 | ルスツリゾート(8面)、Pickleball Base大阪(6面) | 大規模・長期滞在も可 |
| 競技志向・全国大会を目指す | Pickleball Base大阪(国際基準) | 大会開催可能な設計 |
| ショッピングも楽しみたい | PICKLEBALL ONE GINZA新橋 | 国内最大ショップ+カフェ |
ほとんどの専用施設では「体験コース」または「初心者レッスン」が用意されている。60〜90分程度の体験コースでルールと基本打法を学べば、次回からオープンプレー(フリー枠)でも十分楽しめるレベルに達する。「いきなりコートに出て何もわからない」という不安を解消するのが体験コースの最大の価値だ。
定期的に開催される「オープンプレー」は、どんなレベルの人でも参加できる開放型のプレー時間だ。知らない人と組んで試合をすることで、普段の練習相手と違う戦術への対応力が自然と鍛えられる。施設の常連と繋がれば、プレー仲間のネットワークが広がるという副産物もある。
「なんとなくプレーしている」状態から「意識的に技術を磨く」状態へ移行するには、コーチの視点が欠かせない。専用施設のコーチングサービスを月1〜2回定期的に活用し、自分の技術課題を定点観測することで上達速度が大幅に上がる。多くの施設では1回完結のレッスンも受け付けているため、継続契約のハードルなく始められる。
2025〜2026年の施設オープンラッシュは、日本のピックルボール市場が「成長期」から「成熟期」に向けて加速していることの証だ。専用施設が増えることで、「プレー場所がない」という最大のハードルが取り除かれ、競技人口のさらなる増加が見込まれる。
最寄りの施設を見つけたら、まずは体験コースや初心者レッスンに参加してみよう。「道具も場所も知識もゼロ」の状態から始められる環境が、今の日本には整いつつある。専用施設の充実によって、ピックルボールはもはや「都会の一部の人だけのスポーツ」ではなくなった。2026年は、あなたがピックルボールを始める最高の年になる。