クランバレー西部に新たな大動脈
長く渋滞と車社会に頼ってきたクアラルンプール(KL)西郊・シャアラム〜クラン方面に、待望の都市鉄道が開業します。LRT3シャアラム線(Shah Alam Line)が2026年6月29日(月)に営業運転を開始しました。前日の6月28日(日)には、アンワル・イブラヒム首相が出席して開業式典が行われています。
路線はペタリンジャヤのバンダル・ウタマ(Bandar Utama)からクランのジョハン・スティア(Johan Setia)までを結ぶ全長37.8km。開業時点で20駅が稼働し、運行はラピッドKL(Rapid KL)を運営するラピッド・レール(Rapid Rail/プラサラナ傘下)が担います。車両は運転士のいない完全自動運転(ドライバーレス)で、ピーク時には1方向あたり最大1万8,630人/時を運べる輸送力を備えます。
これまでバンダル・ウタマやシャアラム、クランの一帯は車移動が中心で、高速道路の渋滞や駐車場探しが日常的な悩みでした。新線はこの「鉄道空白地帯」を縦断し、クランバレー西部の通勤事情を大きく変える可能性があります。
運賃と「1か月無料」キャンペーン
開業を記念し、2026年6月29日から7月31日まで、約1か月間は運賃無料で乗車できます。在住者にとっては、自宅や職場の最寄り駅から実際に乗って使い勝手を試す絶好の機会です。
無料期間終了後の運賃(始点〜終点の全区間乗車の場合)は次の通りです。
- ●現金(トークン): RM4.90
- ●キャッシュレス(Touch 'n Go・非接触カード等): RM4.30
- ●優待カード(コンセッション): RM2.40
地元メディアCitizens Journalの試算では、片道RM4.30でフルに通勤に使った場合でも月およそRM189程度で、ガソリン代・駐車場代・高速料金を合わせた車通勤コストと比べれば十分に節約になる、と紹介されています。キャッシュレス決済のほうが現金より割安に設定されている点は、KL都市圏の他路線と同様です。
乗り換え(他路線との接続)
LRT3は単独路線ではなく、既存の都市鉄道網と接続します。日本人在住者が押さえておきたい乗り換えポイントは次の3か所です。
- ●バンダル・ウタマ(Bandar Utama/SA01)—MRTカジャン線(MRT1)と接続。MRTでKL中心部方面へ乗り換えできる。
- ●グレンマリー2(Glenmarie 2/SA07)—LRTクラナジャヤ線(Kelana Jaya Line)と接続。KL中心部やKLCC方面へ乗り換え可能。
- ●ジャンバタン・コタ(Jambatan Kota/SA20)—正式な乗り換え駅ではないものの、KTMコミューター(ポートクラン線)のクラン駅まで徒歩約700m。
これにより、シャアラム・クラン方面からMRT・LRT・KTMの各路線へ乗り継いで都心へ向かう動線が整います。
開業までの経緯
LRT3はもともと2025年9月の開業を目指していましたが、試験走行・調整段階でシステムの安定性やソフトウェアの不具合が見つかり、開業が複数回延期されてきました。今回ようやく営業運転にこぎ着けた形です。開業時の20駅に加え、残る駅も将来的(地元報道では2028年以降、一部資料では2031年ごろ)に順次開業し、最終的により多くの駅で運行される計画です。
在住者にとってのポイント
- ●シャアラム・クラン・バンダル・ウタマ周辺に住む人は、車に頼らない移動の選択肢が増える。
- ●まずは7月31日までの無料期間に、生活圏の駅と所要時間を実際に確かめておくとよい。
- ●運賃はキャッシュレス(Touch 'n Go等)のほうが割安。乗り換えにも対応できるよう残高を用意しておくと安心。
- ●KLCC・KLセントラル方面へは、バンダル・ウタマ(MRT)やグレンマリー2(クラナジャヤ線)での乗り換えが鍵。
開業直後は混雑や運行調整が入る可能性もあるため、最新の運行情報はラピッドKLの公式案内で確認することをおすすめします。
参考(2026年6月時点): Citizens Journal「LRT3 Shah Alam line: Everything you need to know before it opens」/ paultan.org「LRT3 Shah Alam Line starts operations next Monday, June 29」/ RinggitPlus「LRT3 Shah Alam Line Starts Operations on 29 June」/ Wikipedia「Shah Alam line」。運賃・運行は変更される場合があります。最新情報はラピッドKL公式をご確認ください。