2026年7月1日、マレーシアの輸入完成車(CBU)電気自動車(EV)に関する新ルールが施行されました。投資貿易産業省(MITI)が定めた新規制により、国内で販売される輸入EVの顔ぶれが大きく変わりつつあります。EV購入を検討中の方、あるいは既に購入済みのモデルが対象かどうか気になる方に向けて、最新情報を整理しました。

新規制の内容:2つの条件

7月1日から、CBU方式(完成品として輸入)のEVには次の2条件が課されます。

  • CIF価格(輸入価格・保険・運賃込み)最低 RM20万(約800万円)
  • モーター出力 最低180kW(245PS / 241馬力)以上

輸入関税・物品税・売上サービス税(SST 10%)が積み重なるため、消費者が店頭で手にする実質価格はRM30万(約1,200万円)以上になると見込まれています。これは以前の免税期間中に購入できた手頃な価格帯のEVと比べると、大幅な引き上げです。

なぜ今、この規制が始まったのか

2022年から約4年間続いた「フランチャイズAP特別免除制度」が2025年12月末で終了し、標準の輸入条件に戻ったことが発端です。MITIは「国内現地組立(CKD)工場の誘致と地場サプライヤーとの連携促進のため」と説明しています。業界関係者の間では、事実上の国民車ブランド(プロトン・プロドゥア)保護の側面が大きいとも見られています。

新規CBU輸入ができなくなる主なモデル

出力が180kW未満のため、新たにCBUとして輸入できなくなる主なモデルは以下の通りです。

日系・欧州ブランド

  • Nissan Leaf(110kW)
  • Toyota Urban Cruiser EV(128kW)、bZ4X(167kW)
  • Honda e:N1(150kW)
  • Mini Cooper SE / Aceman SE(各160kW)

中国系ブランド

  • BYD Dolphin(標準グレード)、Atto 2、Atto 3 Ultra、Seal 6 Dynamic
  • GWM Ora Good Cat Ultra
  • iCaur 03・V23

既存在庫は旧価格で販売継続中

規制施行前に輸入済みの既存在庫については、売り切れるまで旧価格での販売が認められています。主要ディーラーは「数か月分の在庫がある」としており、在庫が尽きるまでは従来の価格水準で購入できます。ただし人気モデルは早期に完売する可能性もあるため、狙っているモデルがあれば早めにディーラーへ在庫確認することをおすすめします。

テスラは規制対象外 ― 価格据え置き

テスラはMITIの「BEV Global Leaders Programme」の認定を受けており、今回の規制の対象外です。7月1日以降もマレーシア全モデルの価格は変更されていません。

  • Model 3 Standard RWD:RM147,600〜
  • Model Y(Premium):RM195,450〜216,450

現地組立(CKD)モデルも引き続き選択肢

マレーシア国内で組み立てられるCKDモデルはCBU規制の対象外です。規制後もラインナップが維持され、比較的リーズナブルな価格帯で購入できます。

  • Proton e.MAS 7:RM99,800〜
  • MG S5 EV(CKD):RM117,000〜
  • Volvo EX30(現地組立)
  • TQ Wuling Bingo(CKD)

在住者への実務アドバイス

今すぐ在庫確認を: BYD Dolphin、Nissan Leaf、Mini Cooper SEなど、規制対象モデルを検討中の方は、近くのディーラーで現在の在庫状況を確認しましょう。旧価格で購入できる最後の機会になる可能性があります。

急がなくていいケース: テスラやCKDモデル(Proton、MG、Volvoなど)を検討中の方は、規制の影響を受けないため、焦る必要はありません。

今後の市場見通し: 業界では「高級輸入EV(RM30万超)」と「現地組立の普及モデル(RM10〜15万台)」の二極化が進むと見られており、手頃な価格帯の輸入EVは徐々に市場から姿を消していく見込みです。EV購入をご検討の方は、こうした市場変化を念頭に置いた上で判断されることをおすすめします。


参考: The Edge Malaysia(2026年7月)/ paultan.org(2026年7月1日・3日)/ ジェトロ・ビジネス短信(2026年5月)/ evsifu.com(2026年7月)