2026年8月22日(土)午後9時ごろ、スランゴール州スバンジャヤ地区の「サンウェイラグーン」でジェットコースターの事故が発生し、乗車していた22人(11歳〜44歳)のうち10人が軽傷を負った(死者なし)。警察と労働安全衛生局(DOSH)が原因を調べている。警察は8月27日、過失や妨害行為の有無を含めて捜査していると説明し、9月7日には結果が出るまで3〜4カ月かかる見通しを示した。事故を起こしたコースターは調査が終わるまで閉鎖されている(9月24日追記、詳細は末尾の「続報」)。
何が起きたか
- ●2026年8月22日(土)午後9時ごろ、スランゴール州スバンジャヤ地区の「サンウェイラグーン」でジェットコースターの事故が発生した。
- ●乗車していたのはマレーシア人と外国人観光客あわせて22人(11歳〜44歳)。
- ●このうち10人が軽傷を負い、スバンジャヤ管内の医療機関に搬送された。死者は出ていない。
- ●事故はSNSに投稿された動画(負傷者が担架で運ばれる様子などを写したもの)をきっかけに明るみに出た。
- ●スバンジャヤ地区警察署長(OCPD)のWan Azlan Wan Mamat氏(階級=ACP)は8月24日の声明で、警察への通報を8月23日午前11時45分に受理し、事故原因を特定するための捜査を進めていると説明した。あわせて、憶測が捜査の妨げになりうるとして、事故について推測で語らないよう市民に呼びかけた。
- ●なお「警察は事件性(第三者による意図的な妨害行為)を排除した」という情報は、警察自身の発表ではなく、サンウェイ・グループ創業者Jeffrey Cheah氏が取材に対して述べた内容として報じられたものである。スランゴール州警察は8月27日、過失や妨害行為の要素があったかを調べていると説明しており、創業者の説明とは食い違う(末尾の「続報」参照)。
運営会社・創業者の説明
- ●運営元のサンウェイ・テーマパークスは、負傷したゲストとその家族への医療支援・ケアを最優先に対応してきたとし、当局の調査に全面協力していると発表した。
- ●サンウェイ・グループ創業者のJeffrey Cheah氏は8月25日、New Straits Times紙の取材に事故を認め、「我々全員が大変遺憾に思う事故だ。死者が出なかったのは幸運だった」と述べた。
- ●Cheah氏は「私の見解では、金属疲労が原因である可能性がある」と述べ、警察はすでに事件性を排除したとも説明(この点は8月27日の警察の説明と食い違う。末尾の「続報」参照)。当該アトラクションは事故の2〜3週間前に、点検・整備のため一時的に運転を停止していたことも明らかにした。
当局の対応:DOSHが詳細調査(鑑定調査を含む)に着手
- ●労働安全衛生局(DOSH)のHazlina Yon長官は8月26日、事故について、科学的な鑑定調査(フォレンジック調査)を含む詳細な調査を実施していると発表した。事故の正確な原因は、証拠や技術報告書の収集・評価を終えた調査完了後でなければ特定できないとしている。
- ●Hazlina長官は、1994年労働安全衛生法(Act 514)またはその関連規則への違反が調査で判明した場合、DOSHは責任者に対する法的措置をためらわないと述べた。
- ●同法のもとでは、雇用主は従業員だけでなく、事業運営の影響を受ける一般市民(来園者を含む)の安全・健康・福祉を確保する責任を負う。2022年の同法改正により、事業者には労働安全衛生リスクアセスメントの実施と、その結果に基づく適切な管理措置が義務付けられている。
- ●Hazlina長官は、マレーシア国内のテーマパークに設置された高リスク設備を対象とした集中査察の必要性についても検討する考えを示した。査察では整備の実施状況、アトラクション運転要員の技能、安全運転手順の順守状況などを確認するとしている。
- ●地元のスバンUMNO・国民戦線(BN)支部長Datuk Dr Armand Azha Abu Hanifah氏は、運営会社に対し事故の詳細説明と、整備記録・技術検査・運転手順の順守状況を含む独立した包括的調査を求める声明を出し、安全性が完全に確認されるまで当該アトラクションを再稼働させないよう当局に求めた。
在住日本人が知っておきたいこと
- ●サンウェイラグーンはクアラルンプール近郊で子供連れの家族に人気の高いテーマパークで、在住日本人家族の利用も多い。
- ●事故を起こしたジェットコースターは、運営会社の9月2日の発表によると、調査が続く間は閉鎖されている。訪問予定がある場合は、事前にサンウェイラグーンの公式発表やSNSで最新の運営状況を確認したい。
- ●事故原因とされる「金属疲労の可能性」はあくまで創業者個人の見解である。スランゴール州DOSHは予備調査で、降車地点の約200m手前で「sliding failure(滑走の不具合)」が起き、自動非常ブレーキが作動して急停止したと説明しているが、最終的な原因はまだ公表されていない。確定的な原因として扱わないよう留意したい。
続報(2026年9月24日追記)
- ●8月27日・警察—スランゴール州警察本部長のDatuk Shazeli Kahar氏は記者会見で、過失や妨害行為(negligence or sabotage)の要素があったかを判断するため詳細な捜査をしていると説明した。消防救助局やスランゴール州DOSHと連携して原因を突き合わせ、捜査中に出てくる新たな手がかりも排除しないとしている。同氏によると、この時点で入院していたのは2人(いずれも重傷ではない)で、ほかの負傷者は退院するか外来で治療を受けていた。当該アトラクションは捜査が終わるまで運転を一時停止し、構造や制御室を詳しく調べるとした(Malay Mail/Bernama、8月27日)。
- ●8月27日・DOSH—スランゴール州DOSHは声明で、予備調査の結果、コースターは降車地点の約200m手前で「sliding failure(滑走の不具合)」が起きるまで通常どおり運転しており、これにより自動非常ブレーキが作動して急停止したと説明した。現場には使用禁止命令(prohibition order)を出し、プトラジャヤのDOSHの鑑識工学部門が技術的な検査を行う。調査は1994年労働安全衛生法第18条(1)(事業場の占有者が、従業員以外の利用者の安全を守るために実行可能な措置を取る義務)に基づくもので、違反した場合の罰金は最高RM50万(Free Malaysia Today、8月27日)。
- ●9月2日・運営会社—サンウェイ・ラグーン社は声明で、当該コースターは調査が続く間は閉鎖を続けると発表した。経過観察のために入院していた来園者は全員退院したとしている(Malay Mail/Bernama、9月2日)。
- ●9月7日・警察—Shazeli本部長は、複数の機関の技術報告書を待つ必要があるため、捜査結果が出るまで3〜4カ月かかる見込みだと説明した。警察はDOSH、消防救助局、鑑識チームなどと連携しており、アトラクションの運転スタッフ、被害者、医療関係者から供述を取ったという(Malay Mail、9月7日)。
- ●本文にある創業者の「警察は事件性を排除した」という説明と、8月27日の警察の説明(過失や妨害行為の有無を捜査中)は食い違っている。当サイトが9月24日に主要紙(Malay Mail、Free Malaysia Today、New Straits Times)を確認した範囲では、警察・DOSHの最終的な調査結果は発表されていない。
参考
- ●The Star(2026年8月25日)
- ●Malay Mail(2026年8月25日)
- ●New Straits Times(2026年8月25日・26日)
- ●Free Malaysia Today(2026年8月25日・26日)
- ●Malay Mail(Bernama配信、2026年8月27日・警察の説明): https://www.malaymail.com/news/malaysia/2026/08/27/sunway-lagoon-roller-coaster-accident-that-landed-two-in-hospital-now-under-selangor-police-probe-for-possible-negligence-sabotage/232889
- ●Free Malaysia Today(2026年8月27日・スランゴール州DOSHの予備調査): https://www.freemalaysiatoday.com/category/nation/2026/08/27/sunway-lagoon-roller-coaster-malfunctioned-before-sudden-stop-says-s-gor-dosh
- ●Malay Mail(Bernama配信、2026年9月2日・運営会社の発表): https://www.malaymail.com/news/malaysia/2026/09/02/sunway-lagoon-keeps-roller-coaster-closed-pending-probe-reiterates-safety-commitment/233705
- ●Malay Mail(2026年9月7日・警察の見通し): https://www.malaymail.com/news/malaysia/2026/09/07/selangor-police-say-investigation-into-sunway-lagoon-ride-gone-wrong-to-take-at-least-three-months-as-it-waits-for-tech-report/234300
(情報時点: 2026年8月26日。続報は2026年9月24日に追記)