マレーシアの銀行口座とデビットカードを保有する在住日本人にとって、日常生活で現金を引き出す際に発生していた「ATM他行引き出し手数料(MEPS手数料)」が、2026年7月1日より恒久的に無料化されました。
これまで、自身が口座を持つ銀行以外のATMで現金を引き出す際には、1回あたり1リンギット(RM1、約40円)の手数料が課されていましたが、今回の新制度導入により、対象となるATMであれば何度でも無料で引き出すことが可能となりました。
本記事では、この無料化の詳細、対象となるATMと対象外となるATMの見分け方、注意点について解説します。
無料化 of 背景と概要
今回のATM他行引き出し手数料の無料化は、以下のマレーシア国内の主要な金融団体がPayNet(Payments Network Malaysia Sdn Bhd)と共同で主導・実施したものです。
- ●マレーシア銀行協会(ABM: Association of Banks in Malaysia)
- ●マレーシア・イスラム金融機関協会(AIBIM: Association of Islamic Banking and Financial Institutions Malaysia)
- ●マレーシア開発金融機関協会(ADFIM: Association of Development Finance Institutions of Malaysia)
この取り組みは、デジタル決済が普及する一方で、いまだ根強い現金の利便性を損なうことなく、マレーシア国民および在住者の「生活費負担の軽減(ease the cost of living)」と、金融サービスのアクセシビリティ向上を目的として決定されました。
2026年7月1日以降、マレーシア国内のデビットカードまたはキャッシュカードを保有するすべてのユーザーは、他行のATMを利用した際でも、これまで徴収されていたRM1の手数料がかからなくなります。
対象となる「銀行運営ATM」と対象外の「独立系ATM」
手数料が無料になるのは、「銀行が直接運営するATM」のみです。マレーシア国内には14,000台以上の銀行運営ATM・SRMs(スマート・リサイクラー・マシン:入出金対応機)があり、これらはすべて無料化の対象となります。
一方で、利便性の高い場所に設置されている一部のATMは無料化の対象外となるため注意が必要です。
1. 無料化の対象となるATM(銀行運営)
- ●見分け方—機械の筐体や画面に、特定の銀行名(Maybank, CIMB, Public Bank, RHB, Hong Leong Bankなど)が単独で大きく表示されています。
- ●場所—各銀行の支店、およびショッピングモールや一部の主要施設内に個別に設置されているブース。
2. 無料化の対象外となるATM(非銀行・独立系)
コンビニエンスストア(セブン-イレブンやファミリーマートなど)やガソリンスタンド、あるいは商業施設の通路などで、複数の銀行のロゴが並んでいる、または「Euronet」「Safeguards」「Reachful」といったブランド名が表示されているATMは、非銀行のプライベート企業が運営する「ホワイトラベルATM(独立系ATM)」です。
- ●注意点—これらは銀行による今回の無料化合意の枠組み外であるため、利用する際には従来通り、またはそれ以上の手数料が課される場合があります。
利用時の注意点とトラブル時の対処法
万が一、手数料を請求された場合
もし、明らかに特定の銀行のブランドのみが表示されている「銀行運営ATM」で現金を引き出したにもかかわらず、RM1の手数料が請求または引き落とされた場合は、お使いの銀行のカスタマーサービスに問い合わせるか、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia: BNM)に報告し、苦情を申し立てるようにしてください。
海外発行カードは対象外
今回の無料化は、マレーシア国内の銀行で発行されたデビットカードおよびキャッシュカードが対象です。日本から持ち込んだクレジットカードや、日本の銀行口座と紐づいた国際キャッシュカードによるマレーシアATMでのキャッシング・引き出しには、それぞれのカード会社や銀行が定める海外利用手数料が適用されるため、無料化の対象にはなりません。
まとめ:在住日本人の生活へのメリット
マレーシアではGrab PayやTouch 'n Go eWalletなどの電子決済が広く普及していますが、ローカルのホーカーセンター(食堂街)や個人商店、ウェットマーケット(市場)など、依然として現金のみ対応の場所も少なくありません。
今回の手数料無料化により、「Maybankのカードを持っているが、近くにCIMBのATMしかない」といった場面でも、手数料を気にすることなく最寄りの銀行ATMで気軽に現金を引き出すことができるようになりました。日常生活の小さなストレスと出費を減らす嬉しいアップデートです。
参考:
- ●Association of Banks in Malaysia (ABM) 公式リリース(2026年6月15日発表)
- ●Malay Mail「RM1 interbank ATM fee waived from July 1, say banking associations」
- ●SoyaCincau「Interbank ATM cash withdrawal fee permanently waived from 1 July」