マレーシアの売上・サービス税(SST: Sales and Service Tax)が、2026年に入って在住者やスモールビジネスに関わる形で見直されました。なかでも注目は、賃貸・リースサービスにかかるサービス税の税率が8%から6%に引き下げられたこと(2026年1月1日付)です。
「家賃が上がる/下がるの?」と気になる方も多いはずですが、結論から言うと、個人が借りるコンドミニアムや一軒家などの住宅家賃はもともとサービス税の対象外です。今回の変更が直接効いてくるのは、オフィス・店舗・倉庫といった商業用物件を借りている事業者や、マレーシアで小さな会社・サービス業を営んでいる方です。本記事では、何がどう変わったのかを、出典に沿って整理します。
2026年からの主な変更点
- ●賃貸・リースサービスのサービス税率を8% → 6%に引き下げ(2026年1月1日付で適用)。政府は「事業者のコスト圧力を和らげ、中小企業(MSME)の成長を支援する」ためと説明しています。
- ●中小企業(MSME)向けの免除しきい値を、年間売上 RM100万 → RM150万に引き上げ。賃貸・リースサービスのサービス税について、より小規模な事業者を免除する方向です。
住宅(コンド・一軒家)の家賃は課税対象外
マレーシアでは、アパート・コンドミニアム・一軒家・サービススイートなどの住宅(居住用)賃貸は、サービス税の対象外とされています。生活費への直接的な影響を避けるための措置で、個人が住むために借りる住居の家賃にサービス税は上乗せされません。
つまり、教育移住や駐在で住宅を借りている日本人世帯にとって、今回のサービス税まわりの改定で自宅の家賃が直接変わるものではない、という点はまず押さえておきたいところです。
商業用賃貸(オフィス・店舗・倉庫)は8%→6%へ
一方で、サービス税の課税対象となるのは、オフィス・小売店舗・工場・倉庫といった商業用(事業目的)の賃貸です。商業用賃貸へのサービス税は2025年7月1日に課税範囲が拡大された経緯があり、その税率が2026年1月1日から8%から6%へ引き下げられました。
ここで混同しやすいのが、2つの「しきい値」です。意味が異なるので分けて理解しておくとよいでしょう。
- ●① 事業者として登録が必要になる基準—賃貸・リースサービスの提供額が年間 RM100万 を超える事業者は、Service Tax Act 2018に基づく登録とサービス税の課税が必要(この規模に満たない小規模オーナーは登録対象外)。
- ●② 中小企業が免除される基準—上記「2026年からの主な変更点」のとおり、MSME向けの免除しきい値が RM100万 → RM150万 に引き上げ。
マレーシアで店舗やオフィスを借りて事業を行っている方は、契約・請求まわりで6%が適用されているかを確認しておくとよいでしょう。
eインボイス: 免除ラインは2026年9月1日から年商RM300万未満に
2026年9月更新*: 電子インボイスの免除ラインは、この記事の公開後、RM100万未満からRM300万未満へ再び引き上げられました(2026年9月1日発効。マレーシア内国歳入庁〔LHDN〕2026年8月30日発表)。この節はその内容に合わせて書き直しています。
税まわりのもう一つの動きとして、電子インボイス(eインボイス)の免除しきい値が2度引き上げられました。
- ●1回目(2025年12月)—マレーシア内閣は2025年12月6日に、免除しきい値を年商RM50万未満からRM100万未満へ引き上げることを承認。当初2026年7月1日に予定されていた最終導入フェーズは撤廃されました。
- ●2回目(2026年9月1日発効)—LHDNは2026年8月30日、首相が同日の独立記念日の首相式典で発表したとおり、免除しきい値をRM100万からRM300万へ引き上げ、2026年9月1日から発効すると発表しました。これにより、年間売上がRM300万未満の中小零細企業は、電子インボイスの実施が義務ではなくなりました。
ただし、LHDNの電子インボイス・ガイドライン(第4.8版、2026年8月30日公表)では、自社の年間売上がRM300万未満でも、個人以外の株主・持株会社・関連会社・合弁会社の年間売上がRM300万以上の場合は免除の対象外とされています。年商RM300万以上の事業者は、引き続き売上規模ごとの適用時期に沿った対応が必要です。詳しくはRM300万への引き上げを伝えた記事をご覧ください。
在住者・スモールビジネスへのポイント
- ●住居の家賃—個人が借りる住宅はサービス税の対象外。今回の改定で自宅の家賃が直接変わるわけではない。
- ●事業をしている方—オフィス・店舗・倉庫など商業用賃貸のサービス税は8%→6%に。契約・請求書の税率表記を確認。
- ●小規模事業者—賃貸サービス税の登録免除しきい値が RM150万に引き上げ。eインボイスの免除しきい値は2026年9月1日から年商RM300万未満に引き上げ(LHDN)。自分の事業規模がしきい値の上下どちらかを確認しておく。
- ●税務の具体的な適用・申告は事業形態によって異なります。実際の手続きは税理士・会計事務所など専門家への確認をおすすめします。
参考(2026年6月時点):
- ●BDO Malaysia「Sales Tax and Service Tax (SST) – January 2026」
- ●KPMG Malaysia「6 percent service tax rate for rental or leasing services」
- ●マレーシア財務省(MOF)「Expansion of Service Tax Scope Effective 1 July 2025」
- ●Wolters Kluwer Malaysia「Rental and Leasing Services Now Subject to Service Tax」(住宅賃貸の対象外・登録しきい値)
- ●Sovos「Malaysia: Mandatory E-invoicing Exemption Threshold Increased」
- ●2026年9月更新時の確認: LHDN(HASiL)メディア声明「AMBANG PENGECUALIAN PELAKSANAAN E-INVOIS DINAIKKAN」(2026年8月30日): https://www.hasil.gov.my/wp-content/uploads/20260830-Kenyataan-Media-HASiL_AMBANG-PENGECUALIAN-E_INVOIS-DINAIKKAN.pdf
- ●2026年9月更新時の確認: LHDN「e-Invoice Guideline」第4.8版(2026年8月30日公表): https://www.hasil.gov.my/wp-content/uploads/IRBM-e-Invoice-Guideline.pdf
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務上の助言ではありません。最新の適用条件は各事業者の状況により異なるため、具体的な対応は専門家にご確認ください。