パドル認証が二つに割れた——「USAP」と「UPA-A」の違い、日本のプレイヤーはどちらを見ればいい?【2026年版】
ピックルボールのパドルを選ぶとき、製品説明に「USAP認証(USA Pickleball Approved)」と「UPA-A認証」という2つの表示が並んでいるのを見たことはないでしょうか。2024年までは認証といえば実質1種類でしたが、いまは主要ブランドの新型パドルに2つの認証マークが混在しています。なぜ認証が二つに割れたのか、そして日本のプレイヤーは結局どちらを気にすればいいのかを、2026年7月時点の情報で整理します。
きっかけは2024年の「パドルが強すぎる」騒動
分裂の発端は、2024年に起きたパドルの高出力化をめぐる混乱でした。2024年4月に発売された高反発モデルをきっかけに、「ボールの飛びが強すぎる」「打たれた側が痣(あざ)を負う」といった声がプロの間で広がり、大きな議論になりました。
これを受けて競技統括団体の USA Pickleball(USAP)は、パドルの反発性能を測る新しい試験を導入します。2024年8月23日に発表された「PBCoR(Paddle/Ball Coefficient of Restitution)テスト」で、ボールがどれだけ速く跳ね返るかを数値化してパワーを管理する仕組みです。USAPは問題視されたモデルを認証リストから外す対応も取りました。
一方、認証を取り消されたメーカー側は反発。米メディアの報道によれば、当該ブランドはUSAPを相手取った訴訟(500万ドル規模と報じられた)を起こすなど、業界とルール運営側の関係は緊張しました。The Dink はこの状況を「業界が沸点に達した」と表現しています。
もう一つの認証「UPA-A」とは
この流れのなかで登場したのが UPA-A です。UPA-A は、プロツアーの PPA Tour とチーム対抗リーグ Major League Pickleball(MLP)の親会社である United Pickleball Association of America が立ち上げた独自の認証プログラムです。2024年6月25日に発表され、独立系の試験機関 Pickle Pro Labs やマサチューセッツ大学ローウェル校と組んで、独自のパドル試験・認証を行うとしています。
The Kitchen の報道によれば、UPA傘下のプロ大会(PPA・MLP など)は2024年9月1日以降、USAP認証を前提とせず UPA-A認証を使用条件とする体制に移行しました。同時点でUPA-Aの承認リストには JOOLA、Selkirk、CRBN、PaddleTek、Onix、Franklin、ProKennex など主要ブランドが名を連ねています。
つまり2024年後半以降、ピックルボールには
- USAP認証 … USA Pickleball が管理する従来からの認証
- UPA-A認証 … プロツアー(PPA/MLP)陣営が独自に立ち上げた認証
という2系統が並立する状態になったわけです。
2つの認証はどう違うのか
ざっくり整理すると、次のような棲み分けになっています。
- UPA-A認証 … PPA・MLP など UPA が主催するプロ大会で使うための認証。プロの試合で使えるかどうかは、基本的にこちらのリストが基準になります。
- USAP認証 … USA Pickleball が主催・公認する大会や、多くのアマチュア・コミュニティ大会で使われてきた認証。
なお、認証とは別の軸として素材トレンドにも違いが見られます。The Dink によると、あるトップブランドは2025年1月以降の新規承認モデルにフォーム素材を一切使っていないのに対し、別の大手は承認モデルの約82%にフォームを採用しており、各社の設計思想が分かれています。
日本のプレイヤーは、どちらを見ればいい?
ここが一番知りたいところでしょう。ポイントは「自分が出る大会の規定で決まる」ということです。
- 普段のレクリエーションや練習 … 正直、神経質になる必要はありません。市販の主要パドルの多くは何らかの認証を通っており、仲間内で楽しむぶんには認証マークの種類が試合を左右することはまずありません。
- 大会に出る場合 … 出場する大会が「どの認証のリストを使用条件にしているか」を、エントリー前に必ず主催者の規定で確認してください。プロツアー系(PPA/MLP系)ならUPA-A、USA Pickleball公認系ならUSAP、というように基準が異なります。同じパドルでも、ある大会では使えて別の大会では使えない、というケースが起こり得ます。
日本国内でも、海外のプロツアーを冠した大会と、国内競技団体が主催する大会が並行して増えています。「このパドルはどの大会で使えるのか」を製品の認証表示と大会規定の両方でチェックする習慣が、これからのプレイヤーには大切になりそうです。
まとめ
- 2024年のパドル高出力化騒動をきっかけに、ピックルボールの認証は USAP と UPA-A の2系統に分裂した。
- UPA-A はPPA/MLPの親会社が立ち上げた独自認証で、プロツアー大会の使用条件になっている。USAP は従来からの認証で、多くのアマチュア大会の基準。
- 普段のプレイでは気にしすぎなくてよいが、大会に出るなら「その大会がどの認証を採用しているか」を事前に確認するのが確実。
参考: The Kitchen Pickleball、The Dink Pickleball(いずれも2024年発表〜2026年時点の報道をもとに構成)