マレーシアの「RON95ガソリン補助金(BUDI95)」は、2025年から本格導入が進むターゲット型補助金です。2026年6月現在、マレーシア国民は1リットルあたりRM1.99の補助価格で給油できますが、日本人を含む外国人居住者は補助の対象外で、無補助価格を支払う仕組みになっています。「ガソリンが安い国」というイメージで来た在住者ほど、ここを誤解しがちです。本記事では、最新の価格と制度の要点を、在住日本人の視点で整理します。

今週(2026年6月18〜24日)の価格

マレーシア財務省・各社報道によると、半島マレーシアの小売価格は次の通りです。

  • RON95(補助あり・BUDI95)RM1.99/L(マレーシア国民のみ・MyKad確認が必要)
  • RON95(無補助)RM3.72/L
  • RON97RM4.35/L
  • ディーゼル(半島部)RM4.37/L
  • ディーゼル(サバ・サラワク・ラブアン)RM2.15/L

補助ありと無補助で、RON95は同じ油種でありながら1リットルあたり約RM1.73(無補助は補助価格の約1.9倍)の差が出ます。

BUDI95とは — 「誰でも安い」から「国民だけ安い」へ

BUDI95(Budi Madani RON95)は、マレーシア政府(Madani政権)が進める補助金のターゲット化策です。これまで国籍を問わず一律に安かったRON95を、補助金の流出(密輸や非国民への補助)を抑える目的で見直し、補助の恩恵をマレーシア国民に絞り込むのが狙いです。財務省は導入時、無補助のRON95小売価格を1リットルあたりRM2.60と設定するとしていました(その後、国際油価に連動して無補助価格は変動しています)。

国民向けの補助価格RM1.99は、MyKad(マレーシア国民のID)による本人確認を給油時に行うことが条件です。さらに補助対象には月間の数量上限が設けられており、2026年4月1日からは従来の月300リットルから月200リットルに引き下げられました。上限を超えた分は補助なしの価格で精算されます。

在住日本人(外国人)はどうなる?

ここが在住者にとって最重要のポイントです。

  • 補助価格RM1.99の対象はマレーシア国民のみ。 MyKadを持たない外国人は対象外です。
  • ペトロナスとKPDN(国内取引・生活費省)は2026年5月29日、「補助付きRON95はマレーシア国民とマレーシア登録車両のためのもの」と改めて注意喚起しました。報道によれば、外国人はマレーシア登録車を運転していても補助は受けられず、無補助価格を支払うとされています。
  • つまり、2026年6月時点で外国人居住者が支払うRON95は、補助価格のRM1.99ではなく、無補助のRM3.72/Lが基準になります。

「マレーシアはガソリンが激安」という以前の感覚のままでいると、家計の前提がずれます。長距離通勤や週末の遠出が多い家庭ほど、燃料費を見直しておくと安心です。

今後の見通し — 補助価格はしばらく維持の方針

価格そのものについては、政府は据え置きの姿勢を続けています。財務省は2026年3月の声明で、市場価格が上昇するなかでもRON95の補助価格RM1.99を維持すると表明しました。首相府の経済・財務上級顧問ヌルヒシャム・フセイン氏も2026年5月29日、「RON95補助金の調整は最後の手段」と述べ、家計への影響を理由に慎重な姿勢を示しています。

一方で、補助金の不正利用(非対象者による利用)を抑えるため、財務省は同日、給油所に対しMyKad確認のSOP(手順)を厳格化するよう指示しました。今後、給油時の本人確認がこれまでより厳しくなる可能性があります。

在住者が押さえておきたいポイント

  • 自分が外国人である限り、RON95は無補助価格(2026年6月時点でRM3.72/L基準)で考える。
  • ニュースで「RON95はRM1.99」と報じられても、それは国民向けの補助価格であり、外国人居住者の実支払額とは異なる。
  • 給油所でのMyKad確認が厳格化される流れにあるため、外国人は最初から無補助価格で精算されると考えておく。
  • 価格は国際油価に連動して週単位で見直されるため、最新の小売価格(無補助RON95・RON97・ディーゼル)は給油前に確認するのが確実。

まとめ

マレーシアのガソリン補助金はいま、「全員が安い」制度から「国民だけが安い」ターゲット型へと移行しています。日本人を含む外国人居住者は補助の対象外で、2026年6月時点では無補助のRON95(RM3.72/L基準)を支払うのが基本です。「安い」という旧来のイメージで家計を組まず、無補助価格を前提に燃料費を見積もっておくことが、これからの賢い暮らし方と言えそうです。


参考(2026年6月時点): マレーシア財務省(MOF)公式発表「RON95補助価格RM1.99を維持」(2026年3月)/ MOF「BUDI95開始に伴い無補助RON95小売価格をRM2.60に設定」(2025年9月)/ paultan.org「今週の燃料価格」(2026年6月18〜24日の小売価格)/ paultan.org「補助付きRON95はマレーシア国民・マレーシア登録車両のみ」(2026年5月29日・ペトロナス&KPDNの注意喚起)/ paultan.org「RON95補助金の調整は最後の手段」(2026年5月29日・首相府顧問ヌルヒシャム・フセイン氏)/ Free Malaysia Today・The Edge Malaysia(BUDI95の補助対象数量を2026年4月1日より月300L→200Lへ減額)。価格は週単位で改定されるため、給油時に最新価格をご確認ください。