クアラルンプール市内の「プロトコル道路」と主要幹線、合計59km(約130万平方メートル)が、2026年8月から2027年2月にかけて順次、路面を削って敷き直す「再舗装」工事に入ります。対象はJalan Ampang(ジャラン・アンパン)、Jalan Sultan Ismail(ジャラン・スルタン・イスマイル)、シェド・プトラ・ラウンドアバウト(Syed Putra)〜ミッドバレー・メガモール間など、在住日本人が日常的に使う道路が並びます。工事は原則として夜10時〜朝5時に限定され、全面通行止めは行われません。
何が決まったのか
クアラルンプール市庁(DBKL)は、8つの工事案件からなる「8路線再舗装プログラム(Eight-Road Resurfacing Programme)」を実施します。連邦直轄地を担当する首相府相(ハンナ・ヨー〔Hannah Yeoh〕氏、英語肩書: Minister in the location_onPrime Minister's Department, Federal Territories)と、クアラルンプール市長(Datuk Bandar Kuala Lumpur)のDatuk Seri Fadlun Mak Ujud氏が2026年8月に発表しました。
- ●対象延長: 合計59km(約130万平方メートル)
- ●予算: 合計1億リンギ超(第1期6,164万リンギ+第2期4,300万リンギ)
- ●期間: 2026年8月〜2027年2月。各案件におよそ24週間
- ●工法: 既存の舗装を削り取って敷き直す「ミル・アンド・ペイブ(mill and pave)」
ハンナ・ヨー氏は、従来の部分補修(パッチング)と比べて路面の寿命が最大50%延び、維持管理コストを最大40%削減できる見込みだと説明しています。「今回の支出は大きいが、それに見合うものにしたい」とも述べています。舗装材にはストーンマスチックアスファルト(SMA14)が使われ、区画線には反射性の高い塗料が用いられると報じられています。
第1期(2026年8月〜): 5案件・6,164万リンギ
第1期は次の5案件です。いずれも工期はおよそ24週間とされています。
- ●Sultan Iskandar Highway 〜 Jalan Damansara 〜 Jalan Istana
- ●シェド・プトラ・ラウンドアバウト(Syed Putra roundabout)〜 ミッドバレー・メガモール(上り・下り両方向)
- ●Jalan Sultan Ismail(Jalan Kuching側の進入ランプ〜Jalan Imbi)
- ●Jalan Ampang(Intermark側の進入ランプ〜Jalan Raja Chulan)
- ●クアラルンプール〜スレンバン高速道路(KL-Seremban Highway)のランプ区間(旧空港側の進入ランプなど2カ所)
なお高速道路のランプ区間については、各媒体とも「旧空港に面したKL〜スレンバン高速道路の進入ランプ」と「SPE高速道路の進入ランプ〜『アーチ』間」の両方を挙げていますが、この2カ所を1案件として数える媒体と2案件に分けて数える媒体があり、5案件の内訳の示し方が報道によって異なります。正確な区間は工事直前にDBKLが出す告知で確認してください。
第2期(2026年9月〜): 3案件・15km・4,300万リンギ
第2期は2026年9月から始まる予定で、合計15km・4,300万リンギの3案件です。
- ●バトゥ洞窟ラウンドアバウト 〜 Jalan Sultan Sulaiman交差点(Jalan Kuching・Jalan Kinabalu)
- ●カンポン・パンダン・ラウンドアバウト 〜 PJD Tower(Jalan Tun Razak)
- ●「アーチ」〜 クアラルンプール・セランゴール州境(KL〜スレンバン高速道路 第3期区間)
(第2期1案件目の終点については、Jalan Sultan Sulaiman交差点と伝える媒体が複数ある一方、Jalan Sultan Ismail交差点と記す媒体もあります。)
工事は夜10時〜朝5時。全面通行止めはなし
工事は交通量の少ない夜10時から翌朝5時までの時間帯に限って行われます。ヨー氏は「これらの幹線道路を全面的に閉鎖することはできないため、道路利用者には辛抱をお願いしたい」という趣旨のコメントを出しており、あわせて「交通量の少ないオフピーク時間帯に実施するので、全面通行止めは発生しない」と説明しています。
つまり日中の通勤・通学時間帯には原則として影響しませんが、深夜に車を使う人は車線規制に遭遇する可能性があります。
事前告知はWaze・Googleマップにも出るとされる
DBKLは各工事の3日前に告知を出すと報じられています(この点を報じているのは1媒体のみで、他の2媒体には記載がありません)。告知の経路として次が挙げられています。
- ●DBKLの公式チャンネル
- ●Waze
- ●Googleマップ
- ●ラジオ
- ●電子表示板(電光掲示板)
日本から来た在住者はDBKLのSNSを追っていないことも多いですが、報道どおりであればWazeとGoogleマップにも反映が期待できます。深夜に空港送迎などで走る予定がある場合は、念のため出発前に経路を再検索しておくと安心です。
背景: KLの道路維持予算は「足りない」と大臣が明言していた
今回の1億リンギ超という金額は、クアラルンプールの通常の道路維持予算と比べると大きな上積みです。
ヨー氏は2026年3月の時点で、連邦政府からクアラルンプールへの道路維持向け直接配分が3,300万リンギにとどまっていることを取り上げ、「これでは足りない。100万台を超える車両が毎日市内に流入し、道路に大きな負荷をかけている」と述べていました。マレーシアの他州は「マレーシア道路記録情報システム(MARRIS)」という国の道路維持基金を通じて年次配分を受けますが、クアラルンプールはその枠組みではなく、より小規模な直接交付金を受け取る形になっていると報じられています(2026年3月時点)。同氏はこの件をアンワル・イブラヒム首相にも国家財政評議会の場で提起したとされています。
また今回の発表では、マレーシア警察(PDRM)の交通データとして、1日あたり300万台近くの車両がクアラルンプールに流入し、そのうち100万台超が朝のピーク時間帯に集中しているという数字も示されました。3月の発言時点の「100万台超」とは、集計の時期・取り方が異なる可能性がある点にご留意ください。
在住日本人の生活への影響
対象路線を地区で見ると、日本人居住者・利用者の多いエリアが複数含まれます。
- ●Jalan Ampang(Intermark〜Jalan Raja Chulan)—KLCC〜アンパン方面をつなぐ幹線
- ●Jalan Sultan Ismail(Jalan Kuching〜Jalan Imbi)—ブキッ・ビンタンを含む「ゴールデン・トライアングル」を南北に貫く道
- ●シェド・プトラ・ラウンドアバウト〜ミッドバレー・メガモール—ミッドバレー方面へのアクセス
- ●Sultan Iskandar Highway〜Jalan Damansara〜Jalan Istana—市北部からダマンサラ方面へ抜ける動線
- ●Jalan Tun Razak(カンポン・パンダン〜PJD Tower、第2期)—市内東側の環状動線
工事が日中を避けている以上、通勤時間が大きく変わることは想定しにくいものの、当面(2027年2月まで)は次の点を頭に入れておくとよさそうです。
- ●深夜〜早朝の移動(空港送迎、夜間の病院、深夜の外食帰り)では車線規制に当たる可能性がある
- ●削り取り直後の路面は段差が生じることがあるため、夜間は速度を控えめに
- ●工事期間中は舗装が新しくなる区間と古い区間が混在するため、二輪車は特に路面変化に注意
まとめ
- ●クアラルンプールの主要道路59kmが、2026年8月〜2027年2月に順次再舗装される
- ●第1期は5案件・6,164万リンギ(Jalan Ampang、Jalan Sultan Ismailなど)
- ●第2期は2026年9月から3案件・15km・4,300万リンギ
- ●工事は夜10時〜朝5時、全面通行止めはなし。3日前の告知やWaze・Googleマップへの反映も報じられている(1媒体のみの報道のため参考情報)
- ●背景には、KLの通常の道路維持予算(3,300万リンギ)では不足という大臣の問題提起がある
参考: paultan.org(2026年8月20日)、World of Buzz(2026年8月20日)、MCI Group(2026年8月20日)、Bernama報道、Malay Mail(2026年3月16日)。本記事は2026年8月20日時点の報道に基づいています。工事区間・日程はDBKLの告知により変更される場合があるため、実際の走行前にはDBKLの公式チャンネルやナビアプリで最新情報をご確認ください。