マレーシアの長期滞在プログラム「Malaysia My Second Home(MM2H)」は、2024年6月に発表されたSilver・Gold・Platinumの3区分を柱とする制度に切り替わり、現在はこれに経済特区向けのSEZ/SFZ区分が加わっています。定期預金の基準額は米ドル建てでSilver USD150,000〜Platinum USD1,000,000、全区分で住宅の購入が必須です。この記事では、観光芸術文化省(MOTAC)のMM2H公式サイト(2026年2月10日更新)に掲載されている要件を、2026年9月時点で整理します。
古い情報に注意: 「月収RM5,000/RM10,000/RM40,000」「定期預金RM100,000〜」「年60日の滞在」「Silverは2025年新設」などの記述は、現行の公式要件と一致しません(Silver・Gold・Platinumの3区分は2024年6月に発表済みです)。当サイトの以前の版にも誤りがあり、2026年9月に全面的に書き直しました。
MM2Hとは?
MM2Hは、外国人がマレーシアに長期滞在するためのプログラムで、承認されるとマルチプル・エントリー・ビザ(MEV)付きの「MM2Hパス」が主申請者と扶養家族に発給されます。窓口は観光芸術文化省の「ワンストップセンター(OSC MM2H)」で、最終的な承認を含む出入国管理上の判断は内務省・移民局の管轄です。
申請は、MOTACから観光業法(1992年法律第482号)に基づく免許を受けたMM2H事業者(エージェント)を通じて行います。
区分別の要件(2026年9月時点)
| 要件 | Silver | Gold | Platinum | SEZ/SFZ |
|---|---|---|---|---|
| 主申請者の年齢 | 25歳以上 | 25歳以上 | 25歳以上 | 21歳以上 |
| 定期預金(FD) | USD150,000 | USD500,000 | USD1,000,000 | 21〜49歳 USD65,000/50歳以上 USD32,000 |
| MM2Hパスの期間(MEV付き) | 5年 | 15年 | 20年 | 10年 |
| 住宅購入(必須)の最低価格 | RM600,000以上 | RM1,000,000以上 | RM2,000,000以上 | ジョホール州フォレストシティの物件(最低価格は州の方針による) |
| 参加費(1回のみ・主申請者) | RM1,000 | RM3,000 | RM200,000 | RM1,000 |
| 事業・投資・就労 | 不可 | 不可 | 可 | 不可 |
| 期間満了後の更新料(5年ごと・1人あたり) | RM1,500 | RM3,000 | RM5,000 | RM300 |
- ●定期預金は、マレーシアの金融サービス法2013またはイスラム金融サービス法2013に基づく認可金融機関に預け入れます。OSC MM2Hは、各区分の米ドル額に相当するリンギット建てでの預け入れを推奨しています。
- ●申請の処理手数料は、主申請者RM5,000、扶養家族1人あたりRM2,500です(公式の区分概要)。参加費は扶養家族には不要です。
- ●外国人の家事使用人を帯同できるのはPlatinumのみです。
- ●「期間満了後の更新料」は、各区分の最長期間(Silverなら5年)を終えたあと、5年ごとにパスを更新する際の費用で、主申請者と扶養家族それぞれにかかります。
全区分に共通する主な条件
1. 住宅の購入は必須
- ●MM2Hとして承認された後、上表の最低価格以上の住宅を購入・所有する必要があります。
- ●OSC MM2Hのお知らせでは、Platinum・Gold・SilverはMM2Hパスの交付(エンドースメント)から1年以内に購入手続きを完了することとされています。
- ●購入した住宅は10年間売却できません(より高額な住宅への買い替えは可)。条件を守らない場合、MM2Hパスは取り消されます。
- ●SEZ/SFZ区分の購入先はジョホール州フォレストシティに限られ、開発業者からの購入(第三者からの購入は不可)で、パスの交付前に所有または購入している必要があります。フォレストシティの現状はこちらの記事もご覧ください。
2. 定期預金の引き出しは元本の50%まで
承認後、マレーシア国内での住宅購入・教育・医療・観光関連の目的に限り、定期預金元本の最大50%まで引き出せます。
3. 最低滞在日数
- ●50歳未満の参加者は、1年間に累計90日以上マレーシアに滞在する必要があります。
- ●25〜49歳の場合、この90日は主申請者・扶養家族のいずれかの滞在で満たせます。
- ●50歳以上は、公式の区分概要で「最低滞在日数の要件なし」とされています。
4. 扶養家族として帯同できる人
- ●配偶者
- ●21歳未満の子(実子・継子・養子)。21〜34歳の子は、マレーシア滞在中に無職かつ未婚であることが条件
- ●医師の証明がある障害のある子(年齢制限なし)
- ●両親・義理の両親
5. 健康診断と医療保険
- ●承認後、MOTAC指定のクリニック・病院で主申請者と扶養家族の健康診断を受けることが必須です。
- ●医療保険は60歳以下の申請者に必要で、マレーシアまたは海外の保険会社の、全世界をカバーする保険であることが条件です。
6. 子どもの教育・医療・税
- ●扶養家族の子どもは、政府が認可した高等教育機関まで就学できます(MM2Hパスのまま、または学生パスが自動的に付与)。子どもの就学に伴うビザ全般は教育移住のビザ手続きの記事にまとめています。
- ●パスの有効期間中、マレーシアで長期の医療を受けられます。
- ●公式ガイドラインは特典として「海外からの資金・所得(定期預金など)に対する課税免除」を挙げています。マレーシア財務省の資料によると、個人(パートナーシップ事業を通じた所得を除く)がマレーシアで受け取る海外所得の免税期間は2022年1月1日〜2036年12月31日です。条件などの詳細はこちらの記事をご覧ください。
申請手続きの流れ(公式フロー)
- 1MOTACの免許を受けたMM2Hエージェントを通じて申請し、書類を提出
- 2エージェントがOSC MM2Hへ申請書類を提出し、OSC MM2Hが審査
- 3受理されると受付書類が発行され、移民局が申請の通知と条件付き承認書をエージェント経由で交付
- 4申請者は90日以内に次の書類を用意する
- ●定期預金証書
- ●医療保険(60歳以下の申請者)
- ●健康診断書
- ●個人保証書(Personal Bond Form。内国歳入庁=LHDNの印紙を押したもの)
- ●有効なパスポート
- 5書類をエージェントに提出し、処理手数料・参加費・パス代・ビザ代を支払う
- 6MM2Hパスが交付(エンドースメント)される
OSC MM2Hのお知らせによると、警察(PDRM)が参加予定者に対して無作為に面接を行うことがあります。また、職業・収入や扶養家族について追加情報が必要な申請では、条件付き承認書にその旨を示す書面が添付されます。
パスの更新と費用
- ●MM2Hパスの有効期間はパスポートの有効期間に左右されます。パスポートの有効期限がMM2Hパスの期間より先に切れる場合は、新しいパスポートにセキュリティ・ステッカーを付け直す手続きが必要です。
- ●プログラムの期間内の更新(5年ごと、またはパスポートの有効期間に応じて)の費用は、ビザ代RM0〜50(国籍による)と、固定のパス料年RM500です。
- ●最長期間を終えた後は5年ごとに更新でき、有効なパスポートの写し・最新の健康診断書・医療保険を提出し、上表の更新料を払います。
- ●主申請者が亡くなった場合、MM2Hパスは登録済みの扶養家族のうち近親者に引き継げます。
よくある質問(FAQ)
Q: MM2Hで働けますか?
A: 事業・投資・就労が認められているのはPlatinumのみです。Silver・Gold・SEZ/SFZでは認められていません。
Q: 月収の条件はありますか?
A: MM2H公式サイトのガイドライン(2026年2月10日更新)の要件一覧に、月収の基準額は掲載されていません。ただし上記のとおり、職業・収入について追加情報を求められる場合があります。
Q: 子どもは何歳まで帯同できますか?
A: 21歳未満の子は帯同できます。21〜34歳の子は、マレーシア滞在中に無職かつ未婚であることが条件です。障害のある子は年齢制限がありません。
Q: 滞在日数の義務はありますか?
A: 50歳未満は年累計90日以上(25〜49歳は家族の誰かの滞在で可)。50歳以上は最低滞在日数の要件がありません。
Q: MM2Hから永住権(PR)は取れますか?
A: 観光芸術文化相は2024年6月15日、新しいMM2Hの参加者は永住権(PR)を申請できないと述べています(The Malaysian Insight報道)。
Q: 自分で直接申請できますか?
A: 申請はMOTACの免許を受けたMM2H事業者(エージェント)を通じて行う仕組みです。免許を持つ事業者と免許の有効期間は、MM2H公式サイトの「Licensed MM2H Agents」ページ(https://www.mm2h.gov.my/agencies )で確認できます。
まとめ
| ポイント | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 区分 | Silver(5年)・Gold(15年)・Platinum(20年)・SEZ/SFZ(10年) |
| 定期預金 | Silver USD150,000/Gold USD500,000/Platinum USD1,000,000/SEZ USD65,000・USD32,000 |
| 住宅購入 | 全区分で必須。Silver RM60万・Gold RM100万・Platinum RM200万以上、10年間売却不可 |
| 滞在日数 | 50歳未満は年90日、50歳以上は要件なし |
| 申請窓口 | MOTAC免許のMM2Hエージェント経由でOSC MM2Hへ |
MM2Hの要件は政府の判断で改定されることがあります。申請前には必ずMM2H公式サイトで最新の内容を確認してください。
出典
- ●観光芸術文化省(MOTAC)MM2H公式サイト「Guidelines」(2026年2月10日更新): https://www.mm2h.gov.my/apply/guidelines
- ●同「Category Overview」: https://www.mm2h.gov.my/category/overview
- ●同 区分別ページ(Silver / Gold / Platinum / SEZ・SFZ): https://www.mm2h.gov.my/category/silver ほか
- ●同「Licensed MM2H Agents」: https://www.mm2h.gov.my/agencies
- ●OSC MM2H「Pengumuman Terkini Program MM2H」(MOTAC掲載PDF): https://www.motac.gov.my/wp-content/uploads/2025/12/Pengumuman-Terkini-Program-MM2H.pdf
- ●OSC MM2H「Insights on The Categories」(MOTAC掲載PDF): https://www.motac.gov.my/wp-content/uploads/2025/12/Insights-on-The-Categories.pdf
- ●マレーシア財務省「Budget 2026 Tax Measures」Appendix 8(海外所得の免税期間): https://belanjawan.mof.gov.my/pdf/belanjawan2026/ucapan/tax-measures.pdf
- ●The Malaysian Insight「New MM2H applicants not eligible for PR status, Tiong says」(2024年6月15日): https://www.themalaysianinsight.com/s/484325
- ●The Star「New three-tier category for MM2H here to stay」(2024年6月19日): https://www.thestar.com.my/news/nation/2024/06/19/new-three-tier-category-for-mm2h-here-to-stay
※ 本記事の情報は2026年9月24日時点で上記の公式情報を確認したものです。
