国王が非常事態宣言に同意

2026年9月4日(金)、マレーシア国王スルタン・イブラヒムは、サラワク州スリアン郡(Serian District)全域における非常事態宣言に同意した。Reutersによれば、宣言はアンワル・イブラヒム首相とアバン・ジョハリ(Abang Johari Openg)サラワク州首相の助言を受けて国王が発出したもので、アンワル首相府が発表した声明は「スルタン・イブラヒム国王は、公衆衛生と安全に危険な大気汚染のレベルに達したヘイズの状況を受け、サラワク州スリアン郡全域における非常事態宣言に同意した」としている。

マレーシアは立憲君主制で国王の役割は主に儀礼的だが、国家の安全保障・経済・公共秩序に対する重大な脅威を理由とする非常事態宣言については、国王が可否を決定する権限を持つ(以上Reuters)。

非常事態宣言は、サラワク州側の要請を受けたものだ。サラワク州災害管理委員会(Sarawak Disaster Management Committee)の委員長を務めるDouglas Uggah Embasサラワク州副首相は記者会見で、大気汚染指数(API)が500を超えたことを受けて州が非常事態宣言を要請したと説明した。

マレーシアの基準では、APIが300を超えると「危険」、500が非常事態宣言の目安となる水準とされる。スリアン郡のAPIは9月4日、519に達した(Reuters報道、政府データ)。

Douglas Uggah Embas氏によれば、非常事態の対象範囲はスリアン郡の半径約20kmに限定され、スーパーマーケット・ガソリンスタンド・銀行などの生活必需サービスは通常通り営業を続ける見通し。人工降雨(クラウドシーディング)作戦も並行して実施されている(以上Reuters)。The Star(9月3日)によれば、この作戦は9月3日(木)からの3日間の日程で、初日はバタン・アイ、バクン、ムルムの各水力発電ダムを対象に実施された。10月に予想される乾期を前にダムの貯水位を回復させることと、ヘイズの緩和を兼ねた措置だという。

大気汚染の状況

Malay Mailによれば、9月4日午後4時時点でスリアン郡のAPIは514、クチンでも313を記録し、州内でこの2地点が「危険」レベル(300超)にあった。

マレーシア環境局(DOE)によるAPI区分:

  • 0〜50: 良好
  • 51〜100: 中程度
  • 101〜200: 不健康
  • 201〜300: 極めて不健康
  • 301以上: 危険

サラワク州内647校が来週から5日間休校

サラワク州教育局のOmar Mahli局長は、9月7日(月)から11日(金)までの5日間、州内647校を休校とすると発表した。対象は小学校563校(児童108,477人)、中学校84校(生徒90,082人)で、クチン、パダワン、バウ、ルンドゥ、サマラハン、シムンジャン、スリアン、スリ・アマン、ルボック・アントゥ、カノウィット、ジュラウ、メラドンの12郡教育事務所管内。対象外の郡では通常通り授業が行われる。

Omar局長は声明で、マレーシア気象局(MetMalaysia)の報告を判断材料に挙げ、「学校休暇中のAPI値の継続的な監視と、マレーシア気象局が発表した報告に基づき、サラワク州教育局は対象校の一時休校を決定した」と説明。「生徒および教育関係者全体の健康と安全を最優先するための措置」だとしている。休校期間中は在宅学習(PdPR)が実施される。

NSTによれば、休校期間の変更や最新の状況は随時発表される予定で、各校は定められた標準作業手順と指針に従うよう求められている。

原因はインドネシア側の森林火災

一連のヘイズは、隣国インドネシアのボルネオ島側(カリマンタン)での森林火災による煙がサラワク州を覆ったことが原因とされる。Reutersによれば、ヘイズはすでに州内の一部で学校の休校を引き起こしており、今回の非常事態宣言はその状況がさらに深刻化した形となる。

在住者への留意点

サラワク州スリアン郡での非常事態宣言に伴い、対象地域内でもスーパーマーケット・ガソリンスタンド・銀行等の生活必需サービスは通常通り営業する見通し。サラワク州内に滞在・居住する読者は、マレーシア環境局(DOE)が公開する大気汚染指数管理システム(APIMS)で最新の数値を随時確認することが推奨される。休校対象の学校に子どもが通う場合は、休校期間の変更が随時発表される点にも留意したい。


参考: Reuters(Yahoo News Malaysia配信、2026年9月4日)、New Straits Times(2026年9月4日)、Malay Mail(2026年9月4日/Astro Awani報道に基づく)、The Star(2026年9月3日「Haze: Sarawak conducting three-day cloud seeding operation」)、マレーシア環境局(DOE)のAPI区分/2026年9月4日時点の情報