マレーシア政府、年末の「スーパーエルニーニョ」に早期警戒態勢
マレーシア国家災害管理庁(NADMA)は2026年7月7日、セランゴール州プチョンで関係省庁・機関による準備状況の確認会議を開催しました。NADMA長官メオル・イスマイル・メオル・アキム氏は、この会議について「機関が準備不足だからではなく、現状の対策を国民に伝え、関係省庁間の連携を強化するためのもの」と説明し、「政府のアプローチはもはや事態の発生を待つものではなく、早期対応・リスク低減・包括的な備えに重点を置いている」と述べています。
背景にあるのは、マレーシア気象局(MetMalaysia)が警告する「スーパーエルニーニョ」の発達予測です。
いつ、どれくらいの暑さになるのか
- ●MetMalaysia副局長(運用担当)アムバン・ディンダン氏によると、エルニーニョはすでに発生しており、より強い「スーパーエルニーニョ」段階は2026年11月ごろから発達し始め、2026年11月〜2027年1月にピークを迎え、2027年初頭にかけてマレーシアに影響を与える見通しです。
- ●強いエルニーニョが続いた場合、2027年3月〜5月ごろに気温が39〜40℃に達する可能性があるとMetMalaysiaは予測しています。特にリスクが高いとされるのは、マレー半島北部・中部(ペルリス/クダ/ペナン方面)、クランタン・パハンの内陸部、サバ・サラワクの内陸部です。
- ●過去のエルニーニョ強年の記録としては、1998年4月9日にペルリス州チュピンで観測された40.1℃がマレーシア史上最高気温、次いで2016年にパハン州バトゥ・エンブンで観測された39.3℃があります。今回予測されている猛暑の水準は、これら過去のエルニーニョ強年の記録に匹敵しうるものとして言及されています。
- ●MetMalaysiaは、長期の高温が「公衆衛生、水供給、農業、エネルギー、環境に大きな影響を与えうる」と警告しています。
- ●予測の根拠は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)のデータで、中部太平洋の海面水温の推移を継続監視しているとしています。
ヘイズ(越境煙害)のリスクは南西モンスーン期に
- ●現在進行中の南西モンスーン期(例年おおむね7〜9月がピーク)は、スマトラ・カリマンタン方面の野焼きの煙がマレーシア半島やサラワクに流れ込み、越境ヘイズが発生しやすい時期とされています。
- ●ただしMetMalaysiaは「深刻なヘイズが発生するかどうかを予測するのはまだ早い。風向きなど気象条件次第」と慎重な立場を示しており、断定的な予報は出していません。
政府の準備体制
- ●今回の会議には、保健省・教育省・MetMalaysia(気象部門)・消防救助局・灌漑排水局・鉱物地球科学局など複数機関が参加し、連携体制を協議しました。
- ●NADMAは「必要なリソースと要員は、迅速な動員に備えてすでに準備が整っている」としています。
- ●MetMalaysiaは、毎月のENSO(エルニーニョ・南方振動)状況アップデート、猛暑警報の発出、雨が7日間連続で降らなかった地域への関係機関への通知など、監視体制を強化していると説明しています。
在住日本人が今から意識しておきたいこと
今回の発表は「確定した猛暑・ヘイズ被害」の予報ではなく、政府が早期に備えを呼びかけている段階です。過度に心配する必要はありませんが、特に小さな子どもや高齢者のいる家庭は、以下のような一般的な備えを頭の片隅に置いておくと安心です。
- ●南西モンスーン期(〜9月ごろ)は、ヘイズ発生時にAPIMS(大気汚染指数)などマレーシア環境局の発表をこまめに確認する習慣をつけておく
- ●屋外活動が多い時期は、こまめな水分補給と直射日光を避ける工夫(外出時間帯の調整、日傘・帽子)を意識する
- ●2027年前半にかけて猛暑が予測されているため、自宅のエアコン・換気設備の点検や、断水・停電リスクに備えた飲料水の備蓄など、通常の防災対策の延長で見直しておくと良い
- ●学校・インターナショナルスクールからヘイズ・猛暑時の屋外活動制限に関する案内が出た場合は、指示に従う
参考: The Star(2026年7月7日・7月8日)、Malay Mail(2026年7月7日、Yahoo News Malaysia転載)、Media Selangor(2026年7月7日)、MCI Group(2026年7月7日)、VietnamPlus(2026年7月7日)、Free Malaysia Today(2026年7月2日)。情報時点は2026年7月9日。