マレーシアで暮らす日本人にとって「運転免許」は生活の足に直結する重要な問題です。2026年6月26日、在マレーシア日本国大使館は、マレーシア道路交通局(JPJ)からの説明として、長期滞在者が国際運転免許証(IDP)で運転できる期間についての重要な明確化を公表しました。就労ビザなどで1年以上の滞在が見込まれる人でも、国際運転免許証で運転できるのは「入国してから12カ月以内」に限られるという内容です。

背景:2025年5月から外国人の免許切替(コンバージョン)は原則廃止

JPJは2025年5月19日以降、外国の運転免許証をマレーシアの運転免許証(LMM)へ切り替える申請の受付を原則停止しています。JPJは、この措置について道路安全の向上、ガバナンスの強化、行政サービスの質の向上を目的とすると説明しています。

この停止措置の対象外(引き続き免許切替が可能)となるのは、

  • 外交官身分の者
  • MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)プログラム参加者
  • もともとマレーシア国籍を持ち、マレーシア免許取得前に外国免許を保有していた者

の3者のみです。就労ビザ(Employment Pass)や配偶者ビザなどで長期滞在する一般の外国人(多くの在住日本人を含む)は、この停止措置の対象となり、免許を取得するにはマレーシア人と同じ手続き(学科試験等を含む通常のプロセス)を経る必要があります。

2026年6月の明確化:国際運転免許証が使えるのは「入国から12カ月」まで

これまで、1年以上の長期滞在ビザを持つ人が、マレーシア免許取得までの「つなぎ」として国際運転免許証をどこまで使い続けられるのかは曖昧でした。2026年6月26日にJPJが示した説明により、次の点が明確になりました。

  • 将来的に12カ月を超える滞在が見込まれる人(就労ビザ保有者など)であっても、入国してから12カ月以内は国際運転免許証で運転できる
  • 入国から12カ月を過ぎると、有効な国際運転免許証を持っていても、それだけでは運転が認められない
  • 12カ月を超えて運転を続けるには、免許切替の対象外である以上、マレーシア人と同じ手続きでマレーシア運転免許証(LMM)を新規に取得する必要がある

なお、この「12カ月以内はIDPで運転可能」という基本ルール自体は、1949年ジュネーブ条約または1968年ウィーン条約の署名国(日本を含む)出身者が対象で、2025年5月の制度変更時点から存在していたものです。今回の明確化のポイントは、「短期滞在者」だけでなく「将来12カ月超の長期滞在が見込まれる人」にも、入国後12カ月までは同じ猶予が適用されると整理された点にあります。

在住日本人への実務上の意味

  • 就労ビザなどで新たにマレーシアに赴任する日本人は、入国日から12カ月が国際運転免許証で運転できる期限であると認識しておく必要があります。
  • 12カ月経過後も車を運転する予定がある場合、外交官・MM2H参加者に該当しない限り、免許切替(コンバージョン)ではなく、マレーシア人と同様の新規取得手続き(学科試験等を含む)を経る必要があります。
  • MM2H参加者・外交官は引き続き従来の免許切替の対象です。
  • ASEAN加盟国籍者は、1985年のASEAN相互承認により自国免許証での運転が認められています(今回の話とは別枠)。

具体的な新規取得の手数料・試験内容など、大使館発表やJETRO記事に記載のない詳細については、JPJの窓口・公式サイトで個別に確認することをおすすめします。

参考

  • 在マレーシア日本国大使館の発表(2025年5月・8月・2026年6月)を引用したJETRO ビジネス短信「マレーシア道路交通局、居住外国人が国際免許証で運転可能な期間を明確化」(2026年7月15日)
  • Free Malaysia Today「JPJ to stop converting foreign driving licences from May 19」(2025年5月16日)
  • Malay Mail「JPJ: Foreign driving licence conversions to cease on May 19 as Malaysia tightens road safety rules」(2025年5月16日)

情報時点:2026年7月22日