バレーボールのプロクラブがピックルボールに参入 ― 東京グレートベアーズが「TOKYO PICKLES」8月20日始動、ラリーポイント制・15点先取の独自ルールを試験採用
SVリーグのプロバレーボールチーム「東京グレートベアーズ」が、ピックルボールクラブ「TOKYO PICKLES by GREATBEARS(東京ピックルズ)」を発足した。運営元の株式会社グレートベアーズが2026年8月20日に発表した。大会開催・スクール事業・地域連携の3本柱を掲げ、東京都渋谷区を中心に普及活動を進める。
注目したいのは、クラブが公式サイトで「今後のルール改定も見据えながら」試験的に採用すると明記した独自ルールだ。ラリーポイント制の導入や1セット10分の時間制限など、現行の公式ルールとは異なる設計になっている。
プロバレーボールクラブが、2つ目の競技を持つ
東京グレートベアーズは、FC東京バレーボールチームの休部にともない、2022年6月に株式会社ネイチャーラボへの全体譲渡によって発足したプロバレーボールチームだ(会社設立は2022年5月)。チーム名は星座のおおぐま座がモチーフで、おおぐま座の一部である北斗七星のように7つの星(選手とサポーター)がつながり、バレーボールを通じて人や地域、世界を「つなぐ」存在を目指す、というコンセプトを掲げている。
そのクラブが立ち上げた東京ピックルズのコンセプトは「誰でも、気軽に。みんなで楽しむ、ピックルボール。」。リリースでは「スポーツをもっと身近に、もっと気軽にしたいという想いから誕生」し、「運動が苦手な人も、はじめての人も、誰もが『やってみたい』と思えるきっかけをつくることを目指す」と説明されている。
事業として予定されているのは次の3つだ。
- 大会開催 — 初心者から経験者まで楽しめる大会・イベントを企画
- スクール事業 — 初心者・初級者が参加しやすいレッスン機会を創出
- 地域連携 — 東京都渋谷区を中心に地域と連携し普及活動を推進
株式会社グレートベアーズの本社は東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエアタワー11F。「地域のウェルネス・スポーツ機会創出に取り組む」としており、渋谷区を軸にした地域密着型の展開を想定しているとみられる。
公式サイトでは、スクールや交流イベント、大会といった具体的な企画は「現在準備中」と案内されている。競技用品やユニフォームなどのオリジナルグッズも準備中とされている。
試験採用される「独自ルール」5項目
東京ピックルズの公式サイトには「GENERAL RULE(一般ルール)」と「CUSTOM RULE(独自ルール)」が別々に掲載されている。GENERAL RULEの節では詳細を書かず、「最新の公式ルールにつきましては、2026年時点のピックルボールジャパン公式ルールをご確認ください」と日本連盟の公式ルールページへ案内する構成だ(CUSTOM RULEの対比表には一般ルール欄があり、サーブ権システム・ペアそれぞれに1球ずつ・11点先取のデュース制といった具体的な記述もある)。
そのうえでクラブは、「これからのピックルボールの可能性を広げる取り組みの一つとして、今後のルール改定も見据えながら、下記の独自ルールを試験的に採用」すると明記している。掲載されている独自ルールは5項目だ。
- ポイントシステム — ラリーポイント制を採用し、両チームに得点権利を与える
- サーブ — 得点したチームがサーブを継続し、失点するまで同じ選手がサーブを打つ。自チームの得点が偶数のときは右サイド、奇数のときは左サイドから
- レシーブ — 試合開始時の左右の選手位置を固定する。ラリーが始まったあとのポジション移動は認める
- コートチェンジ — 各セットでどちらかが8点に到達した時点でコートチェンジ
- ゲームセット — 15点先取のデュース制(同点時はサドンデスデュース)で、時間制限は10分
公式ルールとどう違うのか
ピックルボール日本連盟(PICKLEBALL JAPAN)の公式ルールでは、得点が入るのはサーブ側だけで、レシーブ側がラリーに勝ってもポイントにはならずサーブ権が移るだけ(サイドアウト)という「サイドアウト制」が基本になっている。ゲームは11点先取で、10対10になった場合は2点差がつくまで続く。ダブルスでは各チームに2人のサーバーがいて、第1サーバーがサイドアウトになると第2サーバーへ、第2サーバーもサイドアウトになると相手チームへサーブ権が渡る。
東京ピックルズの独自ルールは、この構造を大きく組み替えている。
| 項目 | 一般的な公式ルール | 東京ピックルズの独自ルール |
|---|---|---|
| 得点方式 | サイドアウト制(サーブ側のみ得点) | ラリーポイント制(両チームに得点権利) |
| ゲームの点数 | 11点先取・2点差(15点・21点制の場合もある) | 15点先取・デュース制 |
| 時間制限 | 記載なし | 10分 |
| コートチェンジ | — | どちらかが8点到達時 |
公式ルールにも15点制・21点制の併記があるため、東京ピックルズの独自ルールで真に新しいのは点数そのものよりも、ラリーポイント制と10分の時間制限だ。ラリーポイント制は、レシーブ側もポイントを取れるぶん試合の展開が速くなり、点差の動きが読みやすくなる。そこに1セット10分の時間制限を組み合わせれば、1試合あたりの所要時間が見通しやすくなる。初心者や、限られた時間で多くの人にプレーしてもらいたいイベント運営との相性を意識した設計と読める。バレーボールがラリーポイント制と時間の読みやすさを備えた競技であることを考えると、バレーボールクラブが運営に入るからこその発想とも言えそうだ。
なお、これはあくまで東京ピックルズが自クラブの取り組みとして試験採用するルールであり、日本連盟の公式ルールが変わったわけではない。公式戦や他団体の大会に出る際は、当然ながらそれぞれの大会規定が適用される。
スタッフに元プロバレーボール選手2名
公式サイトの「PRO STAFF」には、元プロバレーボール選手2名が掲載されている。
- 野瀬 将平(元プロバレーボール選手) — 東福岡高校、慶應義塾大学を経て、FC東京や海外リーグでプレー。高い守備力と豊富な国際経験を武器に、長年第一線でプレーを続けてきた
- 平田 亮介(元プロバレーボール選手) — 崇徳高等学校、中央大学を経て、FC東京、東京グレートベアーズでミドルブロッカーとして活躍。鋭いサーブと安定したブロックを武器にチームを支え、明るい人柄でムードメーカーとしても多くのファンに親しまれた
トップリーグでの競技経験を持つスタッフが指導にあたる体制は、スクール事業を掲げるクラブにとって分かりやすい強みになる。
背景にある市場の伸び
リリースでは、ピックルボールの世界的な広がりを示すデータとして、米国のSports & Fitness Industry Association(SFIA)の数字が引用されている。2025年の米国ピックルボール参加者は2,430万人で、2022年から2025年にかけて171.8%増加したという。
国内でも2026年に入ってから、専用施設の新設や用具メーカーの参入など、事業としてピックルボールに取り組む動きがみられる。今回のように既存のプロスポーツクラブが「2つ目の競技」として事業を立ち上げるケースは、選手・指導者・地域とのつながり・運営ノウハウといった既存資産をそのまま活かせる点で、施設事業者や用具メーカーの参入とはまた違った広がり方をする可能性がある。
日本のプレイヤーにとっての意味
現時点で公表されているのはクラブの発足と方針までだ。渋谷区を中心とした地域連携を掲げている以上、都内でプレー機会を探している人にとっては続報を追う価値がある。
特に、独自ルールを掲げた大会・イベントが実際に開催されれば、日本国内で「ラリーポイント制のピックルボール」を体験できる機会になる。公式ルールとは別物として整理したうえで、どんな遊び方が広がるのかを見ておきたい。
続報は東京ピックルズの公式サイト(tokyo-greatbears.com/pickles/)および公式Instagram(@tokyo_pickles)・公式X(@tokyopickles_gb)で告知される予定だ。
参考: 株式会社グレートベアーズ プレスリリース(PR TIMES、2026年8月20日)/東京グレートベアーズ公式サイト ニュース・TOKYO PICKLES公式ページ/PICKLEBALL JAPAN(一般財団法人ピックルボール日本連盟)公式ルール/Sports & Fitness Industry Association(SFIA)データ(プレスリリース内引用)
情報は2026年8月23日時点のものです。スクール・大会等の開催情報は未定のため、最新情報は各公式サイト・公式SNSでご確認ください。